「犯人に告ぐ」――「今夜は、震えて眠れ」この一言のための2時間



「犯人に告ぐ」

神奈川県警の巻島史彦警視は、担当した誘拐事件で犯人を取り逃がして人質の子供を殺された上、記者会見で大失態を演じてしまう。――6年後、川崎市で連続児童殺害事件が発生。犯人は「バッドマン」と名乗り、ニュース番組のキャスターに脅迫状を送りつけた後、杳として姿を消した。捜査が行き詰まる中、神奈川県警本部長・曾根(石橋凌)が打ち出したのは、現役捜査官にテレビ出演させ、番組を通じて犯人との接触を図るという奇策だった。そのために巻島(豊川悦司)が左遷先から呼び戻され、姿の見えない犯人を相手に、前代未聞の「劇場型捜査」に臨む。


沢尻エリカのブチ切れ舞台挨拶が話題になった「クローズド・ノート」と同じ、雫井脩介原作の映画化。
あちらと違って色恋沙汰は一切無く、登場人物は男ばかり。徹底した男の映画だ。

暗い陰と強固な意志を持った豊川悦司(巻島)、ギラギラした迫力の石橋凌(曾根)、粘着質で変態的な小澤征悦(植草)……と、それぞれ魅力的な好演を見せている。

まあまあ面白かったけど、試写会で観たから採点が甘くなっているせいもあるだろう。
1800円払って観ていたら、さてどうだろう? という気はする。

小説原作モノの映画について、いつも思うのは、「これだけの長さの物語が2時間弱で収まるはずがない」ということ。

映画の内容は、ほぼ原作通り。
登場人物を整理し、途中の展開をいくつか省略して、それなりにうまくまとまっているとは思う。

しかし原作小説の面白さは、主に登場人物の心の動きだとか、言葉の裏の深意だとか、水面下の駆け引きだとかにあって、映画ではそういった細かい部分を端折っているせいで、やはり全体的に薄い印象を受ける。
原作をそのまま圧縮しただけでは、原作を超えるものになるはずもない。もっと大胆なアレンジが必要なのではないか。

原作・映画共に残念だったのは、犯人がテレビとは関係無いところで致命的なミスを2つも犯して、それがそのまま逮捕に繋がったこと。
逮捕のきっかけが偶然頼みでは、いまいちカタルシスが得られない。
「劇場型捜査」あんま意味ないじゃん、と。
そこはやっぱりテレビを通じた心理戦の中から解決の糸口を見つけて欲しかった。

とはいえ、クライマックスで、トヨエツがカメラに向かって勝利宣言するシーンは、さすがに痺れた。

「今夜は、震えて眠れ」

このシーンのために残りの2時間があると言っても過言ではない。

犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)犯人に告ぐ 上 (1) (双葉文庫 し 29-1)
(2007/09/13)
雫井 脩介

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「ねえ、マリモ」(「いぬのえいが」より)――これで泣ける人を犬好きと呼ぶのか



「いぬのえいが」

犬をテーマにした11篇のオムニバス映画。
そのうちの1篇「ねえ、マリモ」は、家族同然に育った愛犬・マリモを亡くした少女(宮崎あおい)が、彼女との思い出を回想する物語だ。




以下、ネタバレありの感想。

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